
日本で平凡に暮らしてきた私達が、使用人を雇う身分になるという一見夢のようなこの暮らしも、ことばもうまく通じない中で、慣れないことに戸惑うことがたくさんあります。彼らとの生活レベルの違いに愕然としながらも、主従関係を維持すべく細かい事を気にしている自分に気づいて虚しくなったり、習慣や生育環境の違いと頭ではわかっていても納得いかず腹が立ったりと、ストレスを感じることも多いでしょう。
しかし、彼らのおかげで、充実した海外生活を送れるというのも事実です。とくに、子育てをしている人達にとっては「使用人がいるから子育てが楽!」とここでの生活を満喫している人がたくさんいます。楽しく子育てするために、インドネシアでの暮らしをより快適で充実したものにするために、使用人と上手に付き合っていきましょう。
インドネシアで使用人というと、一般家庭の場合、運転手、メイド、ベビーシッター、警備員が主な職種です。
運転手は、トラブルや事故の絶えないジャカルタの交通事情により、駐在の日本人が自分で運転をするのは現状では難しいため、ほとんどの家庭で保有する車の数だけ雇用しているのが一般的です。
メイドは、料理、洗濯、掃除、アイロン、買い物を主に行います。メイドの中でも食事を作ることの出来る「コキ(koki)」と、掃除・洗濯を主な仕事とする「チュチ(cuci)」の2種類に分けられ、その役割で名称も違いますし、給与も違ってきます。
ベビーシッターは、専門学校を卒業し正式なベビーシッターの資格を持つ人もいますが、特に資格は持たないものの、子供の世話を主な仕事として雇用されているベビーシッターもいます。
警備員は、主に一軒家に住む人が雇っているようですが、その地域の治安状況により雇用するか否か、何人雇うかは異なるようです。
ここでは、子育て中のママが特に関心を寄せると思われるメイドとベビーシッターについて簡単に説明します。
日本で使用人を雇った経験がない人にとっては、見知らぬ外国人が自分の家庭内にいることだけでも最初はストレスになります。また、使用人との間のトラブルもつきもの。このような理由から、必要がなければ、いない方が気楽と言う方もいることでしょう。
以前は、一軒家に住む方が多く、セキュリティーの問題(家を空にできない)からも、雇わざるを得ませんでしたが、最近アパートメントなどでは雇わない方も増えてきました。
けれども、育児をしていると、掃除や洗濯を手伝ってもらえるというのは、本当に助かるものです。
特にジャカルタで生活するに当たっては、いろいろ日本とは異なる事情もあります。例えば、買い物にしても、日本であれば最寄のスーパーで短時間に済ませられますが、ジャカルタで日本食を中心にした食生活を営むには、日本食材店へ出向く必要があります。必ずしも居住地の近くに数少ない日本食材店があるわけではなく、渋滞の中車に乗って出かける必要があり、その結果買い物をした日は家事をする時間が削られるというようなこともありえます。
家の事情としては、そもそも日本の平均的な住居に比べて面積も広く、部屋数やトイレ数も多いため掃除により多くのエネルギーや時間を割かれる、多くの家が床に大理石を利用しているため、頻繁な水ぶきが必要といった事情があります。
使用人を雇うことで家事にかかる時間を子どもと接する時間に使えますし、会社の婦人会(Nyonya会)やパーティーなど子連れ参加の難しい会に出席しなければ行けないとき、また育児疲れからちょっとリフレッシュしたい時などに、気兼ねなく子どもを預けることができます。また、不測の事態が起こったときに日本のように「母に手伝いにきてもらう」ことが容易にできないのがここでの生活です。そんな時、普段から家事や育児を助けてくれるメイドやベビーシッターがいてくれると助かります。
雇う前になぜ雇うのか、自分なりにしっかり押さえておいたほうが良いでしょう。
前述のとおり、メイドには「コキ」と「チュチ」の二種類があります。コキとチュチの二人を雇って料理担当と掃除・洗濯担当に分けている家庭、コキを一人だけ雇って食事、掃除、洗濯全てを任せている家庭、チュチを一人だけ雇って料理は自分が行う家庭等々メイドに任せる仕事の内容は様々です。ある程度子どもが大きくなり、ベビーシッターがいない家庭の場合、ママの外出時に子どもの留守番をメイドに頼むこともあります。
どの範囲まで家事を手伝ってもらうのか、事前に決めておきましょう。
インドネシア人家庭で働くベビーシッターは、24時間つきっきりで子供の面倒を見るのが基本です。新生児がいる場合、夜中の授乳や夜泣きの対応も全てベビーシッターの仕事という家庭も珍しくありません。しかし、日本人の家庭ではそこまですべて任せることも少ないようです。どの程度子供の世話を任せるのか、忙しいときのみ手伝ってもらうのか、あらかじめ仕事の範囲を決めておくことが必要です。
慣習の違いからくる育児感のずれは、必ず出てきます。ベビーシッターのやり方に任せるのか、日本式の育児法を教えるのかは、雇用主として責任を持って決定し、お互いに納得のいくまで話し合う必要があります。また、一貫した姿勢を保つことが大切です。食事の与え方・入浴の方法・薬の与え方・遊ぶときの注意点など指示は明確・かつ具体的にしましょう。
インドネシアでは、子どもを泣かせないのが良いベビーシッターだそうで、預けている間はなかなか泣き声を聞くことがありません。つまり、子どもの欲するままにさせ、欲するものを与え、叱らず・怒らず、とても可愛がってくれます。結果、ベビーシッターに育てられた子どもは、どうしても、わがままになったり、一人では何もできない自立心に欠ける子どもになったりしがちです。
またまれに、ベビーシッターが子育てに慣れていなくて、泣いたりぐずったりする子どもに体罰を与えたり、あるいは目が行き届かずに怪我をさせてしまうこともあります。着替えや入浴の時に、子どもの全身に目を配り、(発疹や湿疹が出ていないか)肌をよくチェックすることは、健康管理の上で大切なだけでなく、ベビーシッターによる虐待の早期発見にもなります。
メイドやベビーシッターの雇用形態には、「住みこみ」と「通い」があります。
「住みこみ」は文字通り、私達の家に住みこんで働きます。こちらの住居では、ほとんどの場合、私達の住まいと併設してメイド部屋がありますので、そこに寝泊りすることになるのです。就業時間も必然的に長くなるわけですが、仕事をはじめる時間、終わる時間を決め、その間に自分達で適宜休みを取ることになります。
「通い」は例えば「9時から5時まで」のように、その時間で仕事をしてもらう、あるいは「9時に来て、掃除、洗濯、アイロン掛けが終わったら帰る」というようになります。)
採用前には必ず面接をします。面接では、基本的な本人に関する情報(氏名、出身地、年齢、家族構成等)の他、これまでの職歴、日本人家庭での勤務経験、希望する給与、住み込みか通いか、ベビーシッターであれば資格の有無やこれまで世話した子供の年齢などを聞きます。
会話をすることで、その候補者の雰囲気や自分との相性も感じ取れるので、焦ることなく時間をとって面接するといいでしょう。
本採用の前には通常チョバ期間を設けます。チョバ期間は、1〜3ヶ月程度が一般的で、この期間中は給与も本採用時より低めに設定し、解雇する場合も退職金は支払わなくていいようです。
正式に採用すると、解雇や当方の事情による退職時には退職金を用意しなくてはなりません。